センスのいい名前が思いつかない

フツーの人間が書くフツーのブログです。多分面白くないです。でも読めば何かを感じていただけるかもしれません。

インプットとアウトプット

2021年3月7日放送の「R-1グランプリ2021」を見た。

 

真剣にR-1グランプリ(過去会は「ぐらんぷり」)を見るのは初めてだったので、期待していた。放送の評価はネットをにぎわせる通りで、私自身もおおよそ似たような感想だ。

 

  • ネタの途中に、MCを務めた広瀬アリスさんの笑っている姿を必ず1度抜く。視聴者(私)は笑っている広瀬アリスさんを見たいのではなく、ネタを続けてみたいのに。エンタの神様白石美帆的位置づけだった(あの演出も私は嫌いだった)。
  • ハリウッドザコシショウさんが、服をきちんと着て真面目に評価コメントをする、というだけで十分面白く話題性があるのに、コメントを求められたのは2回くらいだけ。全体的に、審査員全員のコメントをもっと聞きたかった。
  • 優勝したゆりやんレトリィバァさんの1回戦ネタを番組終わり際に再放送。そしてゆりやんさんの号泣からの変顔のネタもきちんとカメラが追えず、画面の端っこに(私はちゃんと見て、笑ったよ)。なんと決勝の審査員別得点内訳は、番組終了後にTwitterで発表ということだった。
  • 始まってすぐに広瀬アリスさんの番宣。本人に罪は無いのだが、これは非難の対象になってしまってとてもかわいそうだ。後でネットを見ると、最終回間際のドラマらしい。うーむ。
  • Creepy Nutsの曲が、頭から離れない。これはCreepy Nutsにとってはよかったのか。ずっと流れてたからなぁ。魚釣りで、一度くらいついた魚にに逃げられるのを「バレる」という。番組の評価はまさに「バレた」感じだ。

 

肝心のネタはというと・・・全体的に大爆発はなく、小笑いくらいだったろうか。

ZAZYさんの「なんそれ」が、最後の最後で「なん_れ」になってしまっていた。フリップを止めるクリップがついたままになっていた失敗(もしかして計算?)もあったが、一番面白かったのは、ZAZYさん本人が番組後に、これらの2つの失敗を早速ネタにして、Tシャツを売り出したことだ。良いセンスだと思った。

 

1人で笑いを取るというのは、難しいのだなとも感じた。舞台での掛け合いを楽しむ漫才とは違い、オーディエンスと演者との間で生まれ出る呼吸のようなものを、うまく作り出す必要がある。

そういう意味では、ZAZYさんやかが屋の賀屋さん、森本サイダーさんは(それぞれ違う方法だが)うまく空気を作っていたなぁ、と感じる。

 

優勝したゆりやんレトリィバァさんのネタは、「何か面白くて変な動きをしている人を笑う」というものに近く、どちらかというと傍観者のような見方になった。はまったら面白いのだろうが、一傍観者の域を出ないと「何しているんだろ、この人」と冷静になってしまう。「わかるわかる」とか「確かに」という共感できる部分が見つからないとしんどい。

 

高田ぽる子さんは、芸歴2年目ということだったが、個人的には面白いと感じた。見た目のほんわかさと、ネタの薄気味悪さと、無駄に上手いリコーダー演奏の、ミスマッチの妙が感じられた。

マツモトクラブさんのネタは、1巡目の一人芝居と、2巡目の一人芝居のセリフが完全一致していたら感動したのだが、微妙に変えていた(任意同行とか)のがやや残念に感じた。初めてネタを見たので、2巡目の前半に「おっ、そう来たか」と期待した分、しりすぼみ感を感じてしまった。

 

などと言っているが、お笑いに全然詳しくないので、これらは全くの素人感想なのだが、これをプロが見たらどういう感想になるのかを審査員から聞きたかった。

あぁ、そういう見方なのか、そこがこの人のうまさなのか、といったことを聞けば、もっとお笑いを面白く見れるかもしれない。演者のネタというインプットが、お笑いのプロを通せば、どんなアウトプットになるのか、とても興味深い。

 

今回のR-1グランプリをみて感じたこと。それは、「これだけ叩かれているけども、きっと番組制作側は「これが面白い」と思って企画したんだろうなぁ」、ということだ。

  • Twitter投票による視聴者ポイント
    → あまり大勢に影響もなく、単なる時間のロスだと感じたが。その時間でもう2人くらい審査員のコメントは出せただろう。タブレットの画面を抜くという空前絶後のパワーアクションには驚いた。
  • 優勝ネタの再放送
    → 千鳥のクセスゴとか、細かすぎて伝わらないモノマネ選手権のおかわりとかを参考にしたのか。結婚式のエンディングじゃないんだから流さなくても・・・。
  • 霜降り明星の司会
    → もっとうまく活用できただろう・・・。制作側は彼らに何を期待してキャスティングしたのか。
  • おいでやす小田の無駄遣い
    → スルーするのが面白いのなら、番組最後まで完全スルーしてほしかった。
  • U-NEXT同時配信の実況副音声
    → 途中まで同時に見たけどネタにも集中できないし、実況も集中できないし、どっちつかずになり途中で見るのをやめた。審査員の評価コメントが少ない分、興味はあったのだが、活用できなかったのは残念だった。
  • 10年目までの芸人に突然限定
    → このおかげでM-1グランプリの「おいでやすこが」が誕生したのは功績だった。「スタッフも10年目までに限定したのか?」と揶揄される結果になったが。

などなど。

 

時間の使い方とか、段取りのまずさとか、そういうのは生放送なのでトラブルもあるだろうが、あらかじめ「面白いだろう」「視聴者は求めているだろう」とおもって企画されたであろうことが滑っているのは、非常に興味深い。

企画会議で、「こういうのが面白いんだ」「こういうのを視聴者は求めているんだ」と声高に言った人がいて、きっとその人の言うことは絶対で、誰も否定もできないし、対案を出しても丸め込まれたんだろうなぁ、とか、勝手に妄想している。

 

番組は、まさに一人芸と同じで、演者とオーディエンスの呼吸を作り出すことだと思う。一方的にこれが面白いんだ、と言われて芸を見せられても、呼吸がズレればクスリとも笑えない。

 

クラスで爆笑をかっさらっていると無駄に自信満々な、素人高校生漫才コンビの内輪ネタを見せられているみたいだったな。